マシンビジョンアプリケーションの中には、高解像度と高フレームレートを両立させたカメラを利用することで、大きな成果を上げられるものがあります。プリント基板の自動光学検査、フラットパネルディスプレイの検査、はんだペースト検査(SPI)、医療用スライドスキャンなど、さまざまな用途に活用されています。
JAI の Spark シリーズ「SP-25000-CXP4 (26メガピクセル、150fps)」や「SP-45000-CXP4 (45メガピクセル、52fps)」は、広い視野での細部観察と生産ラインでの高いスループットの両方を実現するカメラとして、マシンビジョン設計者の方々に支持されています。
大容量画像データへの挑戦
SP-25000-CXP4Aのフレームレートは150fpsで、検査アプリケーションで解析する画像データは 8 ビットというコンパクトなデータフォーマットであっても、毎秒31.5ギガビットに達します。このカメラの4レーンCoaXPress 2.0インターフェースには、カメラとアプリケーション間のデータフローをスムーズに処理する50Gbpsの容量がありますが、単一のアプリケーションプロセッサでは処理タスクの大きさに耐え切れず、欠陥の識別が遅くなり、結果としてこのカメラの大きな特徴である高いスループットが損なわれることになります。
一方、45メガピクセルのSP-45000-CXP4Aは、ピクセルフォーマットに応じて毎秒18.6ギガビット~25ギガビットの画像データをストリーミングできます。SP-25000-CXP4Aのデータレートより若干低いものの、この高解像度画像のフローは、一般的なアプリケーションの処理リソースでは対応できないほどの高負荷です。
共有して解決
Sparkシリーズの「SP-25000-CXP4A」と「SP-45000-CXP4A」は、システム設計者が高速・高解像度アプリケーションのデータ課題に対応できる機能を有しており、CoaXPress2.0規格の「link sharing」と呼ばれる2つの機能を利用できます。1つ目の方法は「Sharingモード」と呼ばれ、カメラから送られてくる各画像を自動的に2分割または4分割します。
分割された画像は、4つのCoaXPressチャンネルのうちの1つを経由して、異なるアプリケーションプロセッサに送信されます。つまり、システム設計者は、アプリケーションを最高速度で動作させるために巨大な「スーパーコンピュータ」を用意する必要はなく、代わりに小型で設定が容易なホストを4台使用してタスクを分散し、求められるスループットを維持できるのです。
Sharingモード - 4分割
アプリケーションや対象物の特徴に応じ、画像を縦横または4分割して、各プロセッサをタスクの特定のサブセットに集中させることが可能です。また、境界部分の欠陥を見逃さないために、セクション間のオーバーラップを0~128ライン/ピクセルの範囲で指定できます。
2つ目のLink Sharing オプションは「Duplicateモード」で、フル画像を2~4台のコンピュータに送信して処理するものです。画像全体で複数の解析を行うアプリケーションに適しています。画像を分割せずに各プロセッサに転送し、必要なタスクの一部だけを実行させることで、各コンピューターがタスクを高速にこなし、アプリケーション全体のスループットを維持できるようにします。
Duplicateモードの使用は、処理タスクがアプリケーションにおいて明確なボトルネックになっている場合を想定していることにご留意ください。このとき、処理サイクルが原因で、カメラのフレームレートが大幅に低下していることが想定されます。CoaXPressインターフェースでは、各レーンとも12.5Gbpsまでしか処理できないため、フル画像を4台のコンピューターに送信すると、8ビットモードのSP-45000-CXP4Aのフレームレートは33%、SP-25000-CXP4Aは60%速度が低下してしまいます。
それでも、処理タスクが非常に複雑なアプリケーションでは、結果的にアプリケーションの高速化につながることがあります。JAIのSP-25000およびSP-45000カメラに搭載されたCoaXPressLink Sharing機能は、ビジョンシステムの設計者に、高解像度アプリケーションにおけるデータの問題を克服し、高いスループットを維持することを可能とする、さらなる選択肢を提供します。詳しい情報やプロジェクトに関するご相談は、ウェブサイトのお問い合わせフォームからお寄せ下さい。