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SWIRイメージングによる農産物の選別や等級判定で食品の安全性や品質の向上に貢献

作成者: JAI|2月 10, 2026

果実や野菜の選別は、今や表面から見分けるだけには留まらず、その技術は大きく進化しています。食品の安全規制の強化や品質への要求の高まりを受け、生産者は作物の内部にある欠陥や僅かな変質、外観からでは分からない異物の混入といった異変を高速で検出できる検査技術を必要としています。 一方で、消費者が例えばスーパーマーケットでリンゴを買う際には、いくら実の熟し具合がよくても、目に見える傷があるものを手に取る可能性は低いでしょう。ですがここに正確な選別システムが導入されれば、そうしたリンゴも廃棄される代わりにジュースやピューレ、加工食品などへの転用が可能となるため、小売業者の店頭に並ぶ商品の品質は最高位が保たれ、サプライチェーン全体での食品ロスも大幅に削減できます。  

これこそが、短波長赤外線(SWIR)イメージングがゲームチェンジャーたる所以です。

SWIRイメージングは、可視光や標準的なモノクロイメージングとは異なり、水や糖や脂肪をはじめとした各種の有機化合物が、1000~1700nmの波長域に対してそれぞれ特徴的な光の吸収特性を示すことを活用した技術です。物質ごとの分光特性を可視化できるため、従来のビジョンシステムでは検出不可能だった欠陥、異物、品質特性の判別に、まさに打って付けなのです。
以下では、SWIRカメラが農産物検査の分野において、どのように威力を発揮しているかを具体的に見ていきます。

 

食品選別にSWIRイメージングを採用する理由

食品検査においてSWIRイメージングが提供する3つの重要な利点:

  • 物質の識別:可視光では同一に見える有機物と無機物でも、SWIR光に対する吸収特性が異なります。
  • 内部の可視化:特に水分の豊富な農作物において、SWIRイメージングは皮や殻の下に潜む欠陥の可視化に長けています。
  • 暗色・低コントラストの対象物への有用性:黒や茶色など可視光では暗い色の表面でも、SWIRイメージングでは検査性能に影響しません。

これらの特性により、SWIRイメージングは等級判定、欠陥検出、異物識別において非常に効果的です。

キウイの品質検査
傷、軟化箇所、穿孔損傷の検出

キウイフルーツの検査には、ざらざらした繊維質の外皮によって果実内部の傷みが見つけづらいという、独特な課題があります。目視検査では、単なる表面の凹凸なのか内部に品質的な問題を抱えているのか、区別することが難しいのです。

SWIRカメラを使用すれば以下のことが可能になります。

•    傷の検出
果実の内部に打撲や組織の劣化があると、水分分布が変化します。水はSWIR波長の光を非常によく吸収して黒く写るため、打撲部位は高いコントラストで可視化されます。
•    軟腐病の特定
過熟や内部崩壊による組織の軟化も、局所的な水分分布の変化を引き起こします。従来の可視光検査では識別が困難ですが、SWIR画像では明確に区別可能となります。
•    穿孔・衝撃損傷
表面上は分からなくても、小さな穴や圧迫による損傷は果実の組織を傷めます。SWIRイメージングでは、ダメージによる腐敗が進行する前に、こうした隠れた欠陥を早期に検出できます。


柑橘類の品質検査(レモン、オレンジ)
表面の色だけに頼らない判定

 

柑橘類は外観の均一性が高いため、RGBカメラやモノクロカメラのみでは欠陥の検出が殊に困難です。SWIRならば表面と内部の両方の欠陥を一貫して検出することが出来ます。

主な欠陥としては以下のようなものがあります。

•    
収穫機械などから受けた損傷や環境ストレスによる表面の変色。SWIRイメージングならば、こうした表層の傷が品質にまで影響していないか、深部組織の状態を可視化することで区別できます。
•    ヘタ落ち
ヘタの脱落、損傷、劣化は、果実の鮮度の低下や、あるいは取り扱い時にダメージを負った可能性を示しています。SWIRイメージングは健康な組織とそうではない領域を、高いコントラストではっきりと見分けることが出来ます。
•    腐敗
腐敗は果皮の下に隠れて始まることが多いですが、SWIRイメージングなら目に見えるほどの変化が表れる前に、水分の変化や組織の分解を検出可能です。
•    茎の損傷
乱暴な収穫などで不適切に茎が外れた場合、周辺部が裂傷や内部で打撲を負う可能性がありますが、そうした部分をSWIRイメージングは明確に可視化します。
•    
脱水や生理的ストレスによって生じた果皮の皺や凹凸も、SWIRイメージングで水分分布を分析すれば、品質への影響度を定量測定することが可能です。
•    カビ
カビが発生すると、初期段階で組織の有機構造と水分の含有量に変化が生じます。SWIRイメージングなら肉眼でカビが分かるほど成長してしまう前に、侵食されている部分を見極めることが出来ます。
•    油胞の損傷
果皮の油胞が外圧により破裂すると、黒ずんだ斑点が生じます。SWIRイメージングは正常な部分と損傷した部分のコントラストを明瞭化します。
•    穿孔
微小な穴であっても、開けば急速な腐敗の原因となります。SWIRイメージングなら表面の開口部がどんなに小さくても、内部に広がっているダメージを検出することが可能です。

ドライフルーツの品質管理
異物の検出と品質の保証

ドライフルーツの検査にもまた、課題が存在します。水分の含有量が低く組織が密であることと、個々の形状や質感の違いが大きいことにより、従来の目視検査では、石などのやはり高密度な組成を示す異物を確実に検出することが困難でした。

SWIRイメージングが特に優れている点として、以下のようなことが挙げられます。

•    異物の検出
次のような高密度組成の無機化合物の混入を確実に検出します。
o    石
o    ガラス
o    金属片
これらの物質はSWIR光に対して、有機物である乾燥した果実とは明らかに異なった吸収特性を示すため、たとえ見た目の色や形がよく似ていても、間違いなく識別することが可能です。
•    表皮の損傷と内部組織の欠陥
裂け目、割れ、または過度の乾燥は内部組織を変化させますが、SWIRイメージングはコントラストの変化によってこれらを明瞭化します。
•    カビ
カビの成長は、発生部位の組織の化学組成と水分含有量の両方を変化させます。SWIRイメージングなら、レーズンやイチジクのような暗い色のドライフルーツでも早期にカビの検出が可能です。

ナッツの品質選別
異物の検出やアフラトキシン汚染のリスク低減

 

ナッツの品質選別では、見た目よりも粒の内部の構造や組成に基づいて、許容可能な製品と欠陥品を確実に区別することが要求されます 。

SWIRの主な機能

•    異物の検出
SWIRイメージング は、石や殻、ほかにも様々なナッツ以外の異物の混入を確実に検出します。



•    殻付きナッツの検出
アーモンドをはじめナッツに付いたままの殻は、目視検査では見過ごされる場合があります。SWIR イメージングなら、組成の違いから殻と実を確実に識別します。
•    虫害
ナッツ内部の虫害は脂肪や水分の分布を変化させるため、SWIRイメージングでは明確なコントラストによって映し出すことが出来ます。
•    腐敗や欠け
内部の腐敗や組織の欠損があるとSWIR光の吸収率に変化が生じるため、不良ナッツの除去も容易に可能です。

アフラトキシン(スクリーニング検査)

アフラトキシンは特定の真菌(特にアスペルギルス属)によって産生されるカビ毒で、不適切な貯蔵環境に置かれたナッツに発生し、以下のような特性があります。

•    強い発ガン性を持つ
•    世界的に厳格な規制が敷かれている
•    物質の表面ではなく内部でのカビ増殖との関連性が高い

SWIRイメージングはアフラトキシンそのものを測定する技術ではありませんが、アフラトキシン汚染のリスクと深い関係にある、カビによるダメージや変質が生じたナッツを検出することが非常に得意です。

食品検査におけるSWIRイメージングの役割

新鮮な農作物からドライフルーツやナッツ類に至るまで、従来型のビジョンシステムでは不可能であった物質の識別、表面下の欠陥検出、異物の確実な検出が、SWIRイメージングでは一貫した信頼性の高さと共に実現されます。
生産スピードはより速く、そして品質基準はより厳しくなっていくにつれ、SWIR カメラはもはやニッチな技術ではなく、食品選別および格付けの高度なシステムに欠かせないものとなりつつあります。
SWIRイメージングによって物質の外観を超えた先を見ることは、生産者がより良い判断を行い、無駄な廃棄を削減し、より安全で高品質な食品を市場に提供することを可能にします。

JAIでは今後も、農産物の選別、等級判定の要求に特化した専用ソリューションを提供して参ります。SWIRイメージングを活用したこれらのソリューションは、生鮮農産物、ドライフルーツ、ナッツ類の検査において現実に横たわってきた課題を解決し、従来型システムでは不可能であった欠陥、異物、品質特性の判別が、確かに実現可能なものとなります。