果実や野菜の選別は、今や表面から見分けるだけには留まらず、その技術は大きく進化しています。食品の安全規制の強化や品質への要求の高まりを受け、生産者は作物の内部にある欠陥や僅かな変質、外観からでは分からない異物の混入といった異変を高速で検出できる検査技術を必要としています。 一方で、消費者が例えばスーパーマーケットでリンゴを買う際には、いくら実の熟し具合がよくても、目に見える傷があるものを手に取る可能性は低いでしょう。ですがここに正確な選別システムが導入されれば、そうしたリンゴも廃棄される代わりにジュースやピューレ、加工食品などへの転用が可能となるため、小売業者の店頭に並ぶ商品の品質は最高位が保たれ、サプライチェーン全体での食品ロスも大幅に削減できます。
これこそが、短波長赤外線(SWIR)イメージングがゲームチェンジャーたる所以です。
SWIRイメージングは、可視光や標準的なモノクロイメージングとは異なり、水や糖や脂肪をはじめとした各種の有機化合物が、1000~1700nmの波長域に対してそれぞれ特徴的な光の吸収特性を示すことを活用した技術です。物質ごとの分光特性を可視化できるため、従来のビジョンシステムでは検出不可能だった欠陥、異物、品質特性の判別に、まさに打って付けなのです。
以下では、SWIRカメラが農産物検査の分野において、どのように威力を発揮しているかを具体的に見ていきます。
食品選別にSWIRイメージングを採用する理由
食品検査においてSWIRイメージングが提供する3つの重要な利点:
これらの特性により、SWIRイメージングは等級判定、欠陥検出、異物識別において非常に効果的です。
キウイの品質検査
傷、軟化箇所、穿孔損傷の検出
キウイフルーツの検査には、ざらざらした繊維質の外皮によって果実内部の傷みが見つけづらいという、独特な課題があります。目視検査では、単なる表面の凹凸なのか内部に品質的な問題を抱えているのか、区別することが難しいのです。
SWIRカメラを使用すれば以下のことが可能になります。
• 傷の検出柑橘類の品質検査(レモン、オレンジ)
表面の色だけに頼らない判定
柑橘類は外観の均一性が高いため、RGBカメラやモノクロカメラのみでは欠陥の検出が殊に困難です。SWIRならば表面と内部の両方の欠陥を一貫して検出することが出来ます。
主な欠陥としては以下のようなものがあります。
• 傷ドライフルーツの品質管理
異物の検出と品質の保証
ドライフルーツの検査にもまた、課題が存在します。水分の含有量が低く組織が密であることと、個々の形状や質感の違いが大きいことにより、従来の目視検査では、石などのやはり高密度な組成を示す異物を確実に検出することが困難でした。
SWIRイメージングが特に優れている点として、以下のようなことが挙げられます。
• 異物の検出ナッツの品質選別
異物の検出やアフラトキシン汚染のリスク低減
ナッツの品質選別では、見た目よりも粒の内部の構造や組成に基づいて、許容可能な製品と欠陥品を確実に区別することが要求されます 。
SWIRの主な機能
アフラトキシン(スクリーニング検査)
アフラトキシンは特定の真菌(特にアスペルギルス属)によって産生されるカビ毒で、不適切な貯蔵環境に置かれたナッツに発生し、以下のような特性があります。
• 強い発ガン性を持つSWIRイメージングはアフラトキシンそのものを測定する技術ではありませんが、アフラトキシン汚染のリスクと深い関係にある、カビによるダメージや変質が生じたナッツを検出することが非常に得意です。
食品検査におけるSWIRイメージングの役割
新鮮な農作物からドライフルーツやナッツ類に至るまで、従来型のビジョンシステムでは不可能であった物質の識別、表面下の欠陥検出、異物の確実な検出が、SWIRイメージングでは一貫した信頼性の高さと共に実現されます。
生産スピードはより速く、そして品質基準はより厳しくなっていくにつれ、SWIR カメラはもはやニッチな技術ではなく、食品選別および格付けの高度なシステムに欠かせないものとなりつつあります。
SWIRイメージングによって物質の外観を超えた先を見ることは、生産者がより良い判断を行い、無駄な廃棄を削減し、より安全で高品質な食品を市場に提供することを可能にします。
JAIでは今後も、農産物の選別、等級判定の要求に特化した専用ソリューションを提供して参ります。SWIRイメージングを活用したこれらのソリューションは、生鮮農産物、ドライフルーツ、ナッツ類の検査において現実に横たわってきた課題を解決し、従来型システムでは不可能であった欠陥、異物、品質特性の判別が、確かに実現可能なものとなります。