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表面を超えたその先を見る:半導体製造を支えるSWIR検査技術

半導体は現代のテクノロジーを支える基盤であり、身のまわりの家電製品や電気自動車から、産業オートメーションや高度なコンピューティングシステムに至るまで、日常を構成するあらゆる電子機器に中核として埋め込まれていますが、実は、それらの半導体チップの1個1個が生み出されるまでには、数ヶ月に渡り数百から数千ものステップを経る厳密に管理された製造過程が存在し、そしてそのどれをとっても、ひとつの工程の成否が次の工程の成否を大きく左右するものになっています。 

製造の早い段階で生じた些細な欠陥であっても、後々の工程で例えば高温に晒す作業や厳密な精度を要する作業へと移った際に、影響が拡大あるいは増幅されるため、見逃してしまう可能性を取り除くには、生産フロー全体を通じての継続的な検査が不可欠です。そして、チップの構造がより微細かつ多層化している現在、従来までの可視光検査だけでは不充分となってきているのです。 

シリコンから生み出されるウェハ:あらゆるレベルでの精密性 

半導体の製造には様々な工程がありますが、まず最初は、超高純度のシリコンを特別な形状に成型するウェハ製造から始まります。多結晶シリコンを高温で溶融させたところへ種結晶である単結晶シリコンを浸して徐々に上方へ引き上げると、溶けたシリコンが種結晶の周囲に固着し、結晶構造が完全に整列した単結晶シリコン棒、すなわちインゴットが形成されます

Melting polycrystalline silicon - ingot formation多結晶シリコンの溶解とインゴット形成

インゴットはその後、スライス、粗研磨、外周面取り、熱処理、鏡面研磨、洗浄といった精密な工程を経てウェハとなります

Wafer Slicing-fインゴット切断およびウエハー製造

ここで求められているのは、妥協のない、ミクロン以下のレベルでの平坦性が確保された鏡のような表面のシリコンウェハです。この段階では極々わずかな傷であっても、以後の工程に影響が波及するため、検査は単なる品質管理というに留まらず、半導体製造における根本要件となっています。 

ウェハは次に、酸化膜と薄膜の形成、フォトレジストの塗布、フォトリソグラフィ(露光と現像)、エッチング、アッシングや洗浄といった一連の工程サイクルを複数回に渡り施されます。こうして前工程が完了すると、ウェハは半導体製造の最終段階へと進み、ウェハ上の全チップが検査された後にダイシング、ダイボンディング、樹脂モールディング、最終電気試験などが実施されます。 

  • 酸化膜と薄膜の形成

    熱酸化法や、各種の成膜技法(化学気相成長法、物理気相成長法、原子層堆積法など)を用いて、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、各種金属による機能層をウェハ表面に形成します。 
    これら形成層の均一性は非常に重要であり、わずかな厚さの違いや局所的な欠陥でも後続の工程に悪影響を及ぼします。 

  • フォトレジストの塗布 

    フォトレジストの塗布では、回路パターン転写の準備として感光材をウェハ表面に塗布します。この塗布層の厚さの均一性もまた非常に重要で、次の工程であるフォトリソグラフィにおいて、露光精度と転写パターンの忠実度に直に影響します。

  • フォトリソグラフィ(露光と現像)

    フォトリソグラフィでは、ウェハ上に回路パターンを転写します。ここで転写されたパターンが、最終的にチップの電気的機能性と動作特性を決定づけます。わずかな位置ずれでも構造の欠陥につながる可能性があるため、精密な位置合わせと完全な現像が不可欠です。


    Lithography

    ウエハーのフォトリソグラフィー


  • エッチング(ウェットエッチング、ドライエッチング

    エッチングでは、現像の済んだフォトレジストで保護されている部分は残し、保護されていない部分のみウェハ上の膜を除去することで回路パターンを膜層に転写します。エッチング作業が完全でなかったり、ドライエッチング時に生成されるポリマーへの対策が不充分であったりすると、製品の電気的性能が損なわれ、欠陥を引き起こす潜在要因となり得ます

  • アッシング/洗浄

    アッシングおよび洗浄では、役目を終えたフォトレジストの剥離やポリマーの除去を行いますそれらの残渣が混入してしまうと、繰り返される層の形成やリソグラフィ工程に悪影響を及ぼし、歩留まりと信頼性を損なうことにつながります

    表面が適切にクリーニングされてこそ、新しい層の形成やパターン転写のサイクルを繰り返すことが出来るのです

  • 最終ウェハ検査(後工程)

    前工程の完了後、ウェハは切断の前に最終検査を受けます歩留まりを維持するため、複数の層にまたがって欠陥や応力によって生じた損傷、表面からは見えない部分の傷といった不良をもらさず判別する必要があります 


Wafer-dicing

  • ウェハダイシング

    この段階では、数百から数千個のチップが並んだ完成品のウェハを1つ1つ個別のダイに精密に分割する必要があります。切断作業においてはレーン上で機械から加わる圧力によってダイの表面下に亀裂や欠けが生じる可能性があります。これらは外観からは見分けられない欠陥ですが、故障の原因となり得ます

短波長赤線(SWIR)イメージングで表面検査の弱点を克服

シリコンは可視光域では不透明ですが、短波長赤外(SWIR)帯域の光であれば、ある程度を透過します。この性質を利用すれば表面の下に隠れている構造や完璧に見える外観の内側に潜む欠陥を検査することが可能になります。人間の目が滑らかで透明なガラスの内部に生じたひび割れを見て取れるのと同じように、不透明なものでも観察することが出来るのです。短波長赤線(SWIR)イメージングならば、シリコンの内部やチップを構成している各素材層のコントラストといった表面下の情報を視覚化することでより早い段階での欠陥検出を可能にし、それによって製造工程をよりよくコントロールし、半導体生産のフロー全体に渡って、製造上の様々な判断の確実性を高めることが可能なのです。

半導体の製造では、あらゆる場面で精度が求められます。今まで述べてきたとおり、初期段階で発生したほんのわずかな欠陥がプロセス全体に伝播し、製品の歩留まりと信頼性に影響を与え、数ヶ月にも及ぶ生産体制において重大な納期遅延を引き起こし得るからです半導体の小型化が進みまた検査課題が対象物の表面を超えたその先へと広がっている今、SWIRイメージングは可視光検査では不可能だった表面下の可視化という能力により、効果的な生産プロセス制御にとって不可欠なものとなっています。

ウェハ入荷検査

この検査はウェハに加工の手間が施されてその分だけ価値が加わる、その前に実施する必要があります最初の非常に重要な検査ステップはインゴット成長時の熱応力のばらつきやスライシングなどの成形工程で生じる、隠れた亀裂などの欠陥の検出です

Wafer cracks (1)ウエハー隠れたクラック検査

これらの微細な傷は表面からは見えないことが多いものの、その後の高温工程で拡大し、ウェハの破損や歩留まりの低下、あるいは製品の潜在的な故障につながる可能性があります。不良を抱えたウェハで半導体の製造を開始することは非効率なばかりか、後続のすべての工程に影響が伝播し増幅されるため、コストとリスクの増大を伴います。

製造工程全体を通じた検査

半導体の生産フロー全体に組み込まれたSWIRイメージングは、エッチングなどの重要な工程において、作業の不完全さや除去されるべき物質の残留を逃さず検出し、強力な検査能力を発揮します。欠陥の早期発見は下流工程での問題発生を防止し、一貫した高品質ウェハの生産を支えます。

品質と信頼性を保証する後工程検査

前工程の終了後、ウェハダイシング前の最終検査では、複数の層に渡って不良箇所の有無を検査します。SWIRイメージングは表面下に潜む亀裂や空隙、構造の欠陥、アライメントの問題の検出に威力を発揮します

さらにウェハのダイシングでは機械による圧力が発生するため、製品に亀裂や欠けが生じる可能性があります。これらの欠陥は、表面からではすぐには確認できない場合があります。

SWIRラインスキャンカメラを使用すれば切断軌跡を観察してダイシング工程をモニタリングすることにより切断エッジに沿った亀裂発生の早期検出が可能となります

JAIでは今後、半導体製造プロセスのあらゆる段階で検査のニーズに対応できるようウェハおよび半導体の検査において日々高度化する要求に応えるべく設計された新製品を提供して参ります。