従来、金属加工工場におけるスチールコイルの品質検査や、鉄道の貨物ヤードなどでコイル運搬の履歴を残すために使用される管理コードの記録作業は、人力によって行われてきました。作業員は粉塵や騒音に塗れた過酷な環境下で高温のスチールコイルに近づき、エッジの損傷、バリ、端部の亀裂、コイルの緩みといった欠陥を逐一目視で検査しなければならず、また、運搬記録用のコードも手作業で採取する必要がありました。
現在の検査プロセスにおける主な課題:
検査の適時性の維持が困難: 手作業による検査では網羅的なチェックが難しく、偶発的な欠陥を見逃しやすいため、品質不良品がそのまま後の工程へ流出してしまいます。
潜在的な安全上のリスク: 高温かつ粉塵の多い作業環境は、作業員の安全と健康に直接的な脅威をもたらします。
情報の追跡が困難:スチールコイルに固有に割り振られた番号は、手作業では誤入力が発生しやすいため統計管理が困難となり、物流モニタリングや全体的な管理効率の妨げとなります。
スチールコイルの管理コード読み取りにおける課題
通常、スチールコイルの管理コードは、コイル端面の縁にエンボス加工またはスプレー印刷されており、その読み取りには次のような課題があります。
文字の位置やフォントスタイルのばらつき
コイル表面の酸化被膜、油汚れ、水垢
照明条件によって反射や影などが引き起こす様々な干渉
したがって、効果的な検査ソリューションは、画像の解像度、照明、環境保護という 3 つの側面を総合的に考慮して設計されなければなりません。
推奨される解決策
JAI Spark シリーズのエリアスキャンカメラを撮像用コンポーネントとして採用すれば、検査システムや検査機器のメーカーは、これらの課題を解決できる、優れたスチールコイル検査ソリューションを開発することが可能です。
高解像度とマルチカメラによる画像合成
スチールコイル端面の直径は、ときに2 メートルを超えることもあり、カメラ 1台だけでは広い視野と高解像度という要件を同時に満たすことができません。しかし、複数のカメラによる分割撮像とソフトウェアによる画像合成を採用すれば、コイル端面全体の画像を取得することが可能となります。センサは1画素あたりで、物理サイズにして 0.1~0.3 mm の細かさでの撮像に対応しており、ミリメートルレベルの欠陥やスチールコイルのコード印字を識別するための画像を得るのに充分な解像度を備えています。
高出力ストロボ照明
連続点灯式の照明は、高温環境下では光量の減衰や機器の過熱が起こりやすいという性質があります。それに対し、ストロボ照明は画像撮影の瞬間にのみ高輝度の光を照射するため、金属表面の反射や酸化被膜によるムラといった問題を効果的に排除できます。同時に、全体的な発熱量を抑え、機器の寿命を長持ちさせます。
自動欠陥検出への対応
JAI のカメラは、適切なソフトウェアと照明を備えた検査システムに組み込むことで、エッジの損傷、コイルヘッド部の重なり、エンド部の亀裂、バリ、圧延による裂け目、塔状変形、巻き層ずれ、エッジのはみ出しなど、スチールコイルに一般的な欠陥を検出するために必要な画質を提供できます。
オプションの拡張モジュールを使用することで、コイル全体のつぶれや、コイル中心部の変形、テール突出の検査に加え、内径、外径、コイル幅の測定も可能です。また、コイル番号やラベルの検証にも対応しています。
このアプローチにより、単一のシステムで複数の検査タスクを実行できるため、幅広い使用要件に対応が可能です
過酷な動作環境向けの保護設計
熱間圧延金属コイルの製造現場における高温、多量の粉塵、水蒸気は、精密光学機器の安定稼働にとって深刻な課題です。熱間圧延環境に導入される産業用検査用システムには、カメラやその他機器の動作の信頼性を確保するための保護ハウジング、冷却ソリューション、防塵対策が組み込まれていることが一般的です。これらの対策は、過酷な産業環境において、長期にわたり信頼性の高い運用を確保するために不可欠です。
推奨製品:JAI Sparkシリーズ エリアスキャンカメラ
こうした要件を満たすカメラモデルの中でも、JAI の Sparkシリーズ エリアスキャンカメラは技術的に特に優れた適合性を備えており、まさに最適です。
次世代CMOSセンサ
従来のCCDセンサと比較して、動作速度は最大10倍に高速化されています。同時に、相関二重サンプリング(CDS)、適応型アナログフロントエンド設計、固定パターンノイズ補正などの技術を採用することで、低ノイズと高ダイナミックレンジを維持しています。
幅広い高解像度オプション
解像度は 500 万画素から 4500 万画素まで取り揃えています。1 画素あたり 0.1~0.3 mm という撮像精度の要件を満たすには、2000 万画素以上のモデルを推奨します。
インテリジェントな露出制御
本シリーズのカメラは自動ゲインおよび露出調整をサポートしており、暗い表面から反射率の高い領域まで、困難な照明条件にも適応できるため、手動でのパラメータ調整の手間を大幅に削減します。
幅広いフレームレート
フレームレートは 30 ~ 250 fps で、スチールコイルの移動中でも連続撮影と安定した画像取得が可能です。
多様なインターフェースオプション
CXP、Camera Link、USB3.0、GigE など複数のインターフェースが用意されており、様々なハードウェア構成の検査システムに対して組み込みが容易です。
スチールコイルの端面検査とコード読み取りの自動化は、目視検査の単なる代替にとどまりません。経験頼みでリスクが高く、非効率的でトレーサビリティに欠けていた従来のコイル品質検査を、標準化され、定量化可能で、完全に記録され、安定的かつ信頼性の高い検査プロセスへと変革するのです。
ソリューションパートナーやシステムインテグレーターの提供する適切な照明、ソフトウェア、システム設計と組み合わせることで、JAIのカメラはスチールコイルの自動検査において、画像処理の基盤としての機能を発揮します。
スチールコイルの品質検査で課題を抱えている場合は、ぜひJAIまでお問い合わせください。弊社のカメラ製品ラインナップやイメージング技術が、お客様の検査システム設計をどのようにサポートできるかについて、詳しくご説明いたします。