ベイヤー式カラーカメラの選択が最適なケース

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貴社の装置性能を最大化するカメラを選ぶ際、まずはエリアスキャンカメラとラインスキャンカメラのどちらが適しているか検討する必要があります。貴社の装置用途にエリアスキャンカメラが最適な選択肢で、かつマシンビジョンシステムにカラー情報を取り込む必要がある場合、次にカメラ方式を検討します。ベイヤーモザイク式カメラと多板式プリズム分光カメラの2つの選択肢があります。本ブログでは、どのような場合にベイヤー式カラーカメラが最適な選択肢となるかについて解説します。

エリアスキャンカメラは一般に、検査や選別、解析の対象となる物体の形状や境界が決まっている場合に利用されます。一方、ロール状やシート状製品、長さやサイズが異なる製品の検査用途には、ラインスキャンカメラが最も有効です。

貴社の装置用途にエリアスキャンカメラが最適な選択肢であると判断した場合、次にベイヤーモザイク式カメラと多板式プリズム分光カメラのどちらを導入すべきかを検討します。

ベイヤー式カメラのイメージセンサには、決まった配列パターンのカラーフィルタが貼られています。ひとつの画素にR/G/Bいずれかのフィルタが配置されています。このため、個々の画素でR/G/Bすべての色値を得るには、周囲の画素を調べて、その画素で捉えることのできない2つの色を推定する補間処理が必要になります。



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多板式のプリズム分光式カメラでは、ダイクロイックコーティングを施した高品位のプリズムにより、入射光はR/G/Bそれぞれの波長帯域ごとに分離され、3枚あるセンサで個別に受光します。1枚のセンサはRed、Green、Blueいずれかの帯域を全画素で受けるため、いわば3枚の画像情報を合わせて最終的に1枚のカラー画像として出力するのです。こうして提供された画像は1画素ごとにそれぞれR/G/Bすべての輝度情報を持っているため、ベイヤー式のような補間処理は不要です。

貴社の装置用途に適したカラーカメラ選びに迷ったら…
ぜひTech Guide: カラーイメージング」を参考にしていただき、貴社の装置用途に最適なカラー画像処理向けカメラを選択しましょう。

ベイヤー式カラーカメラが最適な選択肢となるケースとは?

  • カメラの価格が重要な判断基準である場合:ベイヤー式カラーカメラは、プリズム分光式のカメラと比べてはるかに低価格です。320万画素のプリズム分光式カメラの半分以下の投資でも、十分な性能を備えた500万画素のベイヤー式エリアスキャンカメラを導入できます。
  • 最高水準の色再現性までは要求されない場合: ベイヤー式のカメラでは、各画素の3つの色値のうち、2つを「補間する」、つまり推定することが必要です。したがって、ベイヤーアルゴリズムで算出されるRGB値と、被写体の「本当の」色値とは、画素によっては顕著な差異が生じることがあります。もし貴社の装置が、撮像で得た色を画像処理側で定義した基準色と照合するようなシステムの場合、ベイヤーデータの低い精度では問題が生じる可能性もあります。ただし、例えば画像内の1つの色と他の色を比較する場合のように、色を使用する目的が相対的な精度のみの場合は、ベイヤー式カメラで十分です。
  • 色の微妙な差異の判別が不要な場合: ベイヤーフィルタの場合、色の絶対的な精度が低めであることに加え、各画素に受ける光がフィルタでブロックされるため、実効感度も全体的に低下します。これらの要素が原因となり、一般にベイヤー式カメラの場合、わずかな色合いの違いを識別する性能が低くなります。しかしながら、色の判別に関する要求がさほど厳しくない用途では、低価格というメリットを活かしつつ、十分に良好な画質を得られる可能性があります。
  • 高い空間分解能が不要な場合: 前述の通り、ベイヤー式カメラでは画像内の輪郭や線、小さな印字などにすべて補間処理が適用されるため、全体的に細部の描写が損なわれる傾向があります。しかしながら、貴社が設計するシステムが最高水準の空間分解能まで要求しない場合は、ベイヤー式は種類も豊富で選びやすいはずです。また細部の輪郭情報が必要な場合でも、画素数を上げるという方法もあります。その分価格は上がり、また後処理のオーバーヘッドも大きくなるものの、許容できる場合はやはりベイヤー式エリアスキャンカメラが適していることが多いでしょう。

貴社の装置用途に適した
カラー画像処理向けカメラ選びに迷ったら…?

JAI公式動画「3センサ vs ベイヤー式」では、3板式カラーカメラとベイヤーカラーフィルタを採用したカメラの違いについて解説しています。ぜひを参考にしていただき、カラー検査システムを利用して生産性を向上させるノウハウを掴みましょう。