人の体内を詳細に見る ー 蛍光内視鏡検査用マルチスペクトルカメラ

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内視鏡検査の技術は、19世紀半ばに尿路感染症や胆嚢の検査に導入されて以来、着実に進歩して来ました。そして現代の内視鏡検査では、検査時に患者が感じる苦痛と負担を軽減するため、症状や部位に合わせて硬いタイプと柔らかいタイプの異なる内視鏡が使い分けられています。近年はとくに柔らかいタイプの軟性内視鏡検査が注目されており、細く長い管(ファイバースコープ)を直接体内に挿入することで、内部組織や臓器の詳細な観察が行われています。また内視鏡検査は、リアルタイムの画像処理を伴って、小規模な手術を行う際にも欠かせないテクノロジーとなってきました。

長年の技術進歩によって、現代の内視鏡検査が比較的少ないリスクで、瞬時に詳細な画像を提供してくれることはすでに実証されています。食道・胃・十二指腸からなる上部消化管(食道・胃・十二指腸鏡検査)、鼻や気管・気管支などの下気道を含む呼吸器系、小腸(小腸内視鏡検査)と大腸(S状結腸鏡検査)、胆管・直腸(直腸鏡検査)、肛門(肛門鏡検査)、尿路(膀胱鏡検査)、また子宮頸部(コルポスコピー検査)や子宮(子宮鏡検査)など産科・婦人科領域の内視鏡による検査など、人体の各器官内部を幅広く検査するために活用されています。

内視鏡検査に使用されるさまざまな技術の中で、近年、特に注目が集まっているのが「蛍光内視鏡検査」です。この手法を用いることで、目に見えない悪性病変や前癌病変、さらに検出が困難な病変まで適切に見つけることができるようになりました。検査時に体内に注入されるICG(インドシアニングリーン)などの蛍光剤は、悪性病変に取り込まれて混和すると、強い蛍光色を発します。この部位に適切な波長の光を照射して励起させることで、患部の蛍光像を観察することができるようになるのです。近赤外線を吸収して蛍光を発するというICGの特性は、バイオイメージング用のアプリケーションで一般的に使われるようになっており、内視鏡以外でも多くの医療用途に用いられています。その蛍光特性が普及を飛躍的に伸ばすことになった要因です。JAIのカメラはICGの蛍光をリアルタイムで捉えるためにも利用されています。この分野のカメラに求められる要件は、まず優れた画質であることは当然ながら、光学的にズームしたりフォーカスを合わせたりする操作ツールが、人間工学に基づいた使いやすい専用のハンドピース型になっており、そこから制御できることが必須の要件となっています。JAIのカメラなら既存のシステムにも容易にインテグレートすることができます。

内視鏡アプリケーションにカメラが導入されて以来、リアルタイムによる画像観察が求められるが故に、RGBによるキャプチャと画像処理が重要な役割を果たしてきました。蛍光内視鏡検査が普及してきた現在でも、RGBによるキャプチャは依然として最先端の技術といえます。しかし、より最先端のシステムでは、RGBキャプチャと同時に、近赤外(NIR)の波長帯域でより多くの情報を捉えることのできるマルチスペクトルカメラが求められるケースが増えています。

マルチスペクトル・イメージングを実現する方法にはさまざまな手段があります。しかし、システム全体の複雑さを軽減しながら、効率的かつコストパフォーマンスに優れる方法として、プリズム分光式マルチセンサカメラを利用することをおすすめします。JAIのマルチスペクトルカメラと外科手術向けの内視鏡画像処理を組み合わせることによって、異なる波長帯域で2枚または3枚の画像を同時に撮像することが可能になるからです。

医療用のマルチスペクトル・イメージングでは、非可視光領域のNIRチャンネルの画像を、可視光のRGB画像にオーバーレイ合成させることが一般的ですが、蛍光剤(ICG)がタンパク質に付着する特性を利用して、カメラが捉えた術野の中で病理組織の範囲(切除すべきエリアはどこか)を明確に特定することができるようになりました。(これまでは病理組織だけでなく周辺の組織まで含めて大きめに切除せざるを得ませんでした。)

こうした手術用の画像システムでは、外科医が術野内の組織や血管を見やすくするために、RGBによるカラーのライブ映像と蛍光映像をオーバーレイ表示させるため、専用のソフトウェアによってビューイング機能を実現するのが一般的です。血管に注入されたICGは、血漿タンパク質と強く結合し、血管系にとどまります。ICGは通常、600900nmの光を吸収します。吸収の正確なピークは、使用する溶媒の種類や濃度によって異なりますが、750900nmの間で蛍光を発します。つまり吸収と蛍光の波長帯域が大きく重なり合っているのです。ほとんどの内視鏡を用いる症例では、最も吸収されやすい波長を800nm前後にすることが求められますが(低濃度の血漿の場合)、蛍光を検出するためには780785nm前後の波長のレーザー照明を使用しています。

この波長で励起した光からの散乱光をフィルタで除去することにより、ICGの発する蛍光をより明確に捉えるが可能になるのですが、しかし通常の蛍光励起スペクトルは810900nmであるため、ICGによる蛍光励起の特性を十分に活かすために、マルチスペクトルカメラにはNIR波長帯域の長波長側を分離して捉える能力が必須で求められるのです。

カメラが単にNIR領域を捉えることができれば良いという訳ではなく、NIRの波長をより細分化して、反応する(画像を捉える)波長帯域と、反応しない(あえて画像を捉えない)波長帯域を明確に区別できる性能が必要となります。これが複数のNIRチャンネルで捉える必要がある重要なポイントです。またJAIのマルチスペクトルカメラなら、RGB画像も同時にキャプチャしていますので、「蛍光画像」と「リアルタイムのビデオ画像」をオーバーレイした際に、執刀医が蛍光部分から腫瘍や腺の位置を特定できるだけでなく、動脈・静脈などの重要な血管を、「特定色の強調機能」によって目立つように表示したり、赤色を強調表示させることで手術中の血流をしっかりモニタリングしながら手術に臨むことができるようになっているのです。

外科手術および蛍光内視鏡アプリケーション用のマルチスペクトルカメラについての詳細は、ぜひJAIにお問い合わせください。



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