スタジアム用途/スポーツ中継にも使用できる高解像度マシンビジョンカメラ

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テレビ放送が始まって以来、カメラの技術進歩がスポーツ中継の分野にもたらした功績は大きなものがあります。今日では、ほぼすべてのスポーツイベントで放送業務用カメラによるライブ中継が見慣れた光景となり、視聴者はスタジアムに足を運ばなくても家庭のテレビジョンによって迫力あるプレイを楽しむことができるようになりました。一方のマシンビジョンカメラは、一般産業用途だけでなく、医療、科学技術分野、監視用途など多くの分野に普及しており、私たちの日常生活に欠かせないものとなっています。しかしスポーツ中継(放送業務用)とマシンビジョンとの間には、「似て非なる用途」という見えない壁が存在し、共通点が見られることはありませんでした。

昨今ではそうした両者に融合が進み、以前とは異なる様相を呈しています。マシンビジョンカメラが放送業務用カメラと組み合わせて使用されるケースが増えてきているのです。マシンビジョンカメラの小型さを活かして、これまでとは異なるアングルでの撮影が可能になるなど、使い方の幅が広がり、よりダイナミックで、かつては見ることのできなかった映像を視聴者に届けられるようになっています。

たとえば最新の3D映像収録システムにもJAIのカメラが使われています。スタジアムの屋根を取り囲むように42台ものマシンビジョンカメラが配置され、全方向から同時撮影した映像を、高性能なイメージプロセッサに伝送して、デジタル合成された3D映像として出力します。合成処理された映像もリアルタイムで出力されますので、生中継でオンエアできるまでに進化しているのです。視点切り替え(カメラが配置されていない筈の位置から見た映像に切り替える)により、臨場感あふれる映像で視聴者を魅了したり、選手のヘルメットや審判が装着した超小型のマシンビジョンカメラを用いて、まるで選手と同じフィールドにいるような視点から360度ビューをテレビ画面で見た経験がある方もいらっしゃることでしょう。こうした映像を視聴する際にVRヘッドセットを使用すれば、外界との遮断も相俟って没入感たっぷりのライブスポーツ映像を視聴できますし、コンテンツの新たな楽しみ方としてマシンビジョンカメラがテレビ放送にも大きな変革を促しています。

サッカーにおける3Dリプレイ映像

マシンビジョンカメラを用いたスポーツ映像は、テレビ放送を主軸とした生中継だけでなく、スタジアムでスポーツを楽しむ場合にも、さまざまな形で使われています。例えば特定の選手やボールの動きだけを追跡して選手のトレーニングに活用したり、戦術を組み立てて選手に理解・浸透させる目的で使用したり、審判が微妙な判定をするために用いられることもありますし、スタジアムによっては来場した観客の安全のためにモニタリング用途で使用している場合もあります。またプロスポーツチームが採用するケースもあり、選手の動きやテクニック、戦略、試合運びなどを追跡して録画していくことで、コーチが試合全体を分析するための貴重なツールと位置付けられるようになりました。収録された映像とともに、フィールドで選手が走っている時間と距離や範囲、静止している時間などをメタデータとして併用し、選手のパフォーマンスを分析してチーム力の向上に役立てているのです。

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スーパーボウルで導入されているインテル社のシステムでは、スタジアムの上部を取り囲むように設置された36台のJAI Sparkシリーズ2000万画素カメラSP-20000が迫力あるプレイをあらゆる角度から捉えています。

スポーツのプレイや選手のモニタリングとは別に、「スタジアムの安全確保」という点で、観客を効率的に誘導したり、異常を検知・監視する目的でマシンビジョンカメラを利用するケースもあります。観客の座席配置を効率的に管理して混雑を回避し、また観客の動きをディープラーニングさせて、観客の異常行動を検知することで危険回避に役立てるなど、スタジアムの運営管理を効率的に支援しています。特にフーリガンが横行するサッカー競技などでは、こうしたシステムを利用することで、観客の行動パターンを識別し、緊急事態発生時の避難誘導などを効率的に実施することができるようになっています。微細な映像まで収録できる高解像度カメラが必須であることは言うまでもありませんが、一般的に使用されているサーベイランス・カメラの解像度では、もはやディープラーニングにとって役不足な状況になっているのです。

さらには、映像が高解像度になればデータ量が増えるため、バックエンドを支える画像処理システムにもハイパワーなものが求められますが、ここもリアルタイム処理と出力を可能にしたシステムが登場しています。その用途は、顔認識による危険人物の特定など、誰もが思いつく使い方だけでなく、観客の満足度を映像によって定量化・統計化するなど、高機能なバックエンドシステムとの組み合わせ次第で、スタジアムでしか味わうことのできない体験価値を高め、リピート来場や新規集客につなげるなど、多角的な使われ方が模索されています。

リバプールFCも、JAIのメガピクセルカメラを使用したインテル社の3D映像収録システムを導入しています。ぜひ動画をご覧いただき、どのように活用されているのか体験してみてください。

スポーツ映像収録に用いられるマシンビジョンカメラを選択する際に、まず考慮すべき点として、カメラの解像度と撮像フレームレート/出力フレームレートがあります。選手やボールの追跡、観客やスタジアムのモニタリングでは、可能な限り詳細に、微細な動きまで捉える必要がありますが、このためには何をおいてもまず高解像度でなければなりません。

4K」と呼ばれる映像は、テレビ放送やデジタル映画など、特に高解像度への要求が強い映像業界においても、すでに10年以上の使用実績があり、ピクセル解像度としては4096×2160、「Ultra HD」と呼ばれています。ビデオストリーム化した場合にも、4K解像度からHD解像度(1920×1080)にダウンコンバートした映像の方が、最初からHD解像度で収録した画像よりも鮮明で、細部まで映し出すことができます。

また、あとから映像データを合成処理したり編集したりすることを想定するなら、撮影収録する段階では4Kのような高解像度で撮影する方が、低解像度な映像をアップコンバートするよりも、失われる情報や補間によって擬似的に生み出された情報がなく、忠実に再現することができます。「Super HD」とも呼ばれる8K解像度のカメラを活用した映像収録システムでは、撮影シーンを2倍にブローアップしても4K画像と同等の解像度が得られますので、ズームレンズで光学的に拡大した場合の「ズームの限界」を超えて、さらに編集加工によって拡大しても4K画像と同レベルの高い解像感を維持することができます。このように映像の撮影段階において、より高い解像度で画像データを収録しておくことのメリットは、高解像度であればあるほど良いと言えます。4K8Kの高解像度で撮影・収録しておけば、映像編集や画像合成処理を行うポストプロダクションにおいても、画像圧縮を伴うマルチダビングによる映像劣化や、コンポーネントとコンポジットの信号変換に伴う画質劣化が不可避である場合に、これまで以上に編集加工の作業に自由度をもたらしてくれるでしょう。

一方で、そうした高解像度で収録する映像を、テレビジョン放送用として送出することを考えてみると、「放送用のフレームレート」にシンクロナイズする必要があります。世界のテレビジョン放送に用いられるフレームレートは地域ごとに定められており、アメリカや日本では毎秒29.97フレーム(旧NTSC規格と同じ)、ヨーロッパや中国などでは毎秒25フレーム(旧PAL規格と同じ)です。プログレッシブスキャンによるビデオ信号伝送が一般的となった現在の放送システムの場合は、それぞれが毎秒59.94フレーム(北米および日本)や毎秒50フレーム(欧州および中国)が必要となります。いくらカメラの撮像素子自体が高解像度であったとしても、毎秒1フレームでしか撮影できず、また出力できなかったとすれば、放送用のビデオ規格に則って同期させられませんので、放送用途との映像素材としてインテグレートすることができないのです。解像度とフレームレートはトレードオフの関係ですから、高い解像度であれば一般的にフレームレートは低くなってしまいます。ビデオ信号規格への同期処理が必須なのか、低フレームでも良いから高解像度の必要があるのか、用途に応じた解像度とフレームレートの最適なバランスがカメラ選択の鍵となります。この点でJAIの高解像度カメラであるSparkシリーズなら、高解像度と高フレームレートを兼ね備えた最適なソリューションと言えるでしょう。

放送用途をあまり考慮する必要がないスタジアム常設型のマシンビジョンカメラの場合には、考慮すべき要件が少し変わります。撮影された画像データをいかに低ノイズで長距離伝送できるかです。スポーツスタジアムは非常に広いため、会場全体にカメラを配置した場合には、ケーブル伝送距離が長くなり、また風雨などの屋外環境に対しても信頼性の高い出力インタフェースが求められます。CXPインタフェースやSFP+などの光インタフェースを備えたカメラが適しているでしょう。

そして放送用ライブ中継カメラと、単なるスタジアム常設型カメラのどちらにも共通している必須の条件には、多くのスポーツは屋外競技ですので、マシンビジョンカメラを用いる場合はさまざまな照明条件に適応できる必要があります。カメラの露出状態が完璧であったとしても、シーンによっては最も明るい部分が白飛びしたり、暗部が黒潰れしていたり、時には同じ画角内でそれらが同時発生していることがあります。しかしカメラにハイダイナミックレンジ(HDR)機能が搭載されていれば、明部と暗部のどちらの階調表現も犠牲にすることなく、同一シーン内の最も明るい部分から最も暗い部分に至るまで、均一なリニアリティを維持した最適な画像を収録することができます。HDR機能により、屋外特有の厳しい明暗の下でも、特殊な照明条件を加えて撮影する必要がなく、自然な映像を収録することができます。

この他に屋外使用のマシンビジョンカメラに求められる機能には、イメージセンサに到達する光の量を、明るさの条件に応じて動的に加減するコントロール機能や、「アスリートからの距離」と「撮影する位置」に応じて、焦点距離を変化させる機能がなど挙げられます。つまりレンズのアイリスとズームをリモート制御できる必要があるのです。スタジアムに常設されるカメラの多くは、固定した位置に設置されているため、放送業務用カメラのように、三脚に設置したカメラを専用のカメラマンが任意かつリアルタイムに操作できる訳ではなく、アイリス、ズームレンズ、パンチルトなどをすべて遠隔で制御しなければなりません。パンチルトは雲台で制御することができますが、アイリス制御やズーム制御は、カメラ自体がレンズのコントロール信号も受け付けてレンズに転送する機能が必要です。これがあればレンズのリモートコントロールを可能にするための余計なインタフェースシステムを構築する必要がなく、システムを簡素化することができます。放送業務用途に特化して開発されたカメラであれば、これらの機能は当然のごとく最初から備わっていますが、JAIはマシンビジョンカメラでありながら、レンズの制御信号まで転送できる機種を取り揃えており、高画質・高フレームレートな点に加えて、システム全体をインテグレートする場合に現行システムへの容易な組み込みを可能にするなど、運用方法まで熟知して設計されています。

詳しくは:
ウェブキャスト:Sparkシリーズの新製品4500万画素カメラの主な画像処理機能

スポーツビジョンシステム向けエリアスキャンカメラSparkシリーズのSP-45000-CXP4

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