JAIは、3つの独立したマルチスペクトル波長帯を捉えるプリズム分光式カメラの新製品「FS-3200T-10GE-NNC」が、Fusionシリーズのカメララインナップへ新たに加わることを発表しました。本カメラは、1つの入射光を3枚の独立したCMOSセンサに分離するダイクロイックプリズムを搭載。これにより、320万画素のベイヤーカラー画像と2つの近赤外帯域（700 nm～800 nm、820 nm～1000 nm）の320万画素の画像を同時に捉えて画素間を完全に合わせ、107 fpsで出力することが可能になります。
FS-3200T-10GE-NNCの分光感度特性
JAIでは、2チャンネルのFusionシリーズのモデルよりも、さらに優れたマルチスペクトル解析機能を必要とされるお客様のご要望にお応えし、FS-3200T-10GE-NNCを開発いたしました。来年にかけてもマルチスペクトルカメラの新製品を順次投入していく予定です。特定の生体物質（ライフサイエンス用途）や食品、化学物資などは、NIRスペクトルの異なる帯域で見ると見えかたが異なります。NIR情報を「低」帯域と「高」帯域に分けることにより、この現象を利用してより良好な結果が得られる方法をマルチスペクトルシステムの設計者に提供します。
FS-3200T-10GE-NNCのデータシートをダウンロード
JAIが10年以上前に導入したこの独自のマルチスペクトルプリズム分光式カメラ設計により、複数台のカメラを用意したり、照明を設置したりするためのコストや複雑さに煩わされることなく、1台のカメラで多波長分析を必要とするマシンビジョンの検査用途に幅広く適用できるようになりました。また、新たな機械システムの追加も必要なく、フィルタホイールを使ったマルチスペクトルカメラにみられるような摩耗する可動部もありません。
新製品のFS-3200T-10GE-NNCは、320万画素（2048×1536画素）、1/1.8型光学フォーマットのソニー製Pregius IMX252 CMOSセンサのベイヤーカラーバージョンとモノクロバージョンを搭載。従来のFusionシリーズのCCD搭載マルチスペクトルカメラでは最大解像度130万画素、最大フレームレートがわずか31 fpsであったのに比べて、本カメラでは8bit出力の最大フルフレームレートが107 fpsと大幅に向上しています。
10 GigEインタフェースはGigE Vision 2.0規格に準拠し、カラー画像と近赤外域（NIR）のモノクロ画像を効率的な1本のケーブルを介して、個別分析用の装置やホストPCにトリプルストリームで出力します。また、このインタフェースはIEEE 1588規格で定義されたPTP（Precision Time Protocol）をサポートしているため、マルチカメラシステムにおいてネットワーク全体でクロックを同期させることが可能です。
フレームレートの向上に加えて、新しいCMOSセンサを搭載した本カメラは、従来のCCDセンサ搭載のモデルに比べ、近赤外域（NIR）の低帯域（700 nm～800 nm）でほぼ2倍の感度を、近赤外域（NIR）の高帯域で約20％高い感度を持ちます。そのため、通常の条件下でもより高品質な画像が得られるだけでなく、低照度下でも検査用途に最適なS/N比を提供します。
本カメラは、サイズ62×62×86.5 mm、レンズマウントはCマウントに対応しています。
Fusionシリーズおよび新製品の3CMOSマルチスペクトルカメラの詳細については、ぜひFusionシリーズのページをご覧ください。